本堂を包むように松明の火が上がる。半鐘、太鼓、双盤、法螺が重なり、その音の中を三匹の鬼が巡る。面は祖父、祖母、孫。手には大きな鏡餅を抱えている。
節分の鬼なら、豆を投げられて外へ追われる。だが岡崎の瀧山寺で、鬼は邪鬼を祓う役目を担う。怖い顔の向こうに、天下泰平と五穀豊穣を願う力が置かれている。
鬼の前に、田をつくる
火祭りだけが鬼祭ではない。旧暦の正月に行う修正会の結願の日、仏前法要、鬼塚供養、庭祭りを経て夜の火祭りへ進む。庭祭りでは田打ちから田植えまで、稲作の仕事が演じられる。
田をつくり、実りを願い、その後に鬼が現れる。火の迫力だけを切り取れば見えないが、三鬼は一年の農の時間を背負って本堂へ出てくる。

祖父、祖母、孫が残った理由
一匹の強い鬼ではなく、三代の家族として現れるところが、この祭りを忘れがたくする。鏡餅を抱えた鬼たちが回廊を巡る姿には、田の実りと家の続きが重なって見える。
火は鬼を焼くためにあるのではない。鬼と人が同じ火の中を巡り、新しい一年を迎えるために燃えている。三河路に春を告げるのは、追い出された鬼の背中ではなく、邪鬼を祓って進む三つの面である。
行事概要
時期:旧暦1月7日に近い土曜日
会場:瀧山寺本堂
所在地:愛知県岡崎市滝町山籠107
保持者:瀧山寺鬼祭り保存会
次回日程は瀧山寺・岡崎市の公式発表後に追記
岡崎市の公式情報に基づく(確認日:2026年10月8日)。次回日程は公式発表後に反映します。おでかけ前に公式の最新情報をご確認ください。アイキャッチと本文挿絵は当サイト制作のイメージ画で、実際の祭りの写真ではありません。
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